【映画】先に撃ったのは誰?『ハン・ソロ』ネタバレ感想

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映画『ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー』の感想です。最後により映画を楽しむための参考図書も紹介します。

いきなりラスト付近の話に入ってしまいますが、ハン・ソロをギャングの世界に導く師匠的な存在であるベケットというキャラとの対決シーンが出てきます。それは明らかに、エピソード4でグリードを撃ち殺す例のシーンを意識したものです。

ハン・ショット・ファースト論争

1977年に公開されたスターウォーズ1作目のエピソード4に、ハン・ソロが酒場で賞金稼ぎのグリードに脅されるというシーンがあります。そこで彼は、クールに先制攻撃でグリードを撃ち殺し、店主に騒ぎのお詫びにとコインを渡して去っていきます。彼がアウトローの世界に生きており、ルークとは違う種類の人間であることが分かる印象的なシーンです。

ところが監督のジョージ・ルーカスは、これが当時の自分の意図とは違っていると感じて、1997年の特別編ではグリードがハンより先に発砲しているようにシーンを変更してしまいました。作中のハンの人格を変えてしまうような変更に、当時のファンの多くが不満を持ちました。これが「ハン・ショット・ファースト論争」という炎上騒ぎにつながったそうです。

ベケットとハン、先に撃ったのは?

映画の終盤で、自分を裏切って戦利品を奪ったベケットとハンが対峙するシーンがあります。そこでハンは師匠とも言える存在であるにも関わらず、ベケットの胸を先制攻撃で撃ち抜きます。このシーンを見て、ロン・ハワード監督はおそらくエピソード4のオリジナル版の支持者なんだな、と想像させられました。さらに見どころはこの後です。ハンはすぐさま倒れたベケットに寄り添い、彼の死を悲しむ表情を見せるのです。彼はベケットから教わったアウトローの世界のルールを冷徹に実践しながらも、人間的な暖かい感情を決して捨てていないということがわかります。すごく良いシーンでした。

個人的見解

仮に自分が先ほど紹介した論争に参加するとしたら、エピソード4 完全版の、撃ってきたクリードに対してハンが正当防衛として反撃したように見える改変は、不要だったと思います。銀河帝国が支配しつつある宇宙の中の不法地帯で、彼らは弱肉強食の世界を生き抜かなければななりません。他人を殺したり裏切ったりするのも生存のための一つの判断なんです。

今作のハンは裏切ったベケットを完全な敵だと見なしたわけではなく、理解もしているのだと思います。最後に複雑な表情を浮かべたまま帝国側についていくキーラも含めて、それぞれが自分の今の立場の中で生き残るために違った判断をしていきます。本作はそれを決して否定することなくラストを迎えるのです。先に撃ったからと言って、ハンがただの冷酷な無法者じゃないことはファンだってわかっています。この作品からそんなメッセージを受け取った気がします。

参考図書

『スターウォーズはいかにして宇宙を征服したのか』クリス・テイラー

スターウォーズ制作の歴史が膨大な情報量で解説されています。本書の面白いところは、制作側だけではなく、作品を受け取ったファン側のムーブメントについても語られているところです。

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