読書

哲学

【書評】能力による差別『実力も運のうち』マイケル・サンデル

人種や性別による差別なく、誰もが努力と才能によって成功することができる社会。そう聞くと何の疑いもなく、素晴らしいことだ、そういう社会を目指すべきだと思うのが普通でしょう。サンデル教授はそんな一見「正しい」考え方に潜む差別の問題が浮...
実用書

【書評】認知科学で本物の英語力をつける『英語独習法』今井むつみ

人間の脳は注意を向けていることには意識を集中して知覚しますが、逆に集中していないものはとっことん知覚できないようにできています。その注意力をどこに向けるかの基礎となっている知識のシステムを、認知科学の世界では「スキーマ」と呼ぶそう...
文学

【書評】小説はいかに読むべきか『批評理論入門』廣野由美子

文学を理論的に解明するための方法である批評理論の入門書ですが、本当に分かりやすくて素晴らしいです。なぜかというと、数々の抽象的な理論を羅列するのではなく、実際の文学作品をそれらの理論で読み解く実例の解説がメインに書かれているからで...
文学

【書評】批評理論の現在『クリティカル・ワード 文学理論』

文学作品を読み解くための理論である文学理論(あるいは批評理論)の入門書です。前半で基本的な文学理論のキーワードをいくつか挙げて解説し、後半はより最新の、現在重要となっているトピックを選んで掘り下げてるというスタイルです。私は文学理...
経済

【書評】経済学の前提を疑う『予想どおりに不合理』ダン・アリエリー

古典的な経済学の入門書を開いてみると、結構難しい数式とグラフが並び、なんとなく数学的に厳密な学問なんだろうな、という印象を受けます。でもその議論の土台にはかなり大雑把な前提があって、「合理的経済人」と呼ばれています。取引を行う人間...
技術

【書評】古代から現在まで『世界の建築家 解剖図鑑』

世界の代表的な建築家を取り上げ、作品のイラストと合わせて解説する図鑑です。建築家がクローズアップされない古代は様式の解説で、ルネサンス期からが建築家図鑑になっています。解剖図鑑シリーズの良いところそのままで、ピックアップする建築家は多すぎ...
哲学

【書評】正義とは何なのか、ちゃんと言いなさい!『国家』プラトン

古代ギリシアの哲学者プラトンの、言わずと知れた代表作中の代表作です。読んだことはなくても、イデア論とか哲人統治とか、何となく聞いたことがある人も多いでしょう。タイトルだけ読むと、理想の国家について書かれた政治学がテーマの本に見えますが、意...
技術

【書評】街を見るレンズの倍率が上がる『建築デザインの解剖図鑑』

地理や歴史や建築などについての入門書などを読んで新しい知識がつくと、街を歩いている時に目に入ってくるものの見え方がガラッと変わり、楽しむポイントが増えるという経験ができます。本書は、見るものにズームする時の倍率をぐっと上げて、建物...
科学

【書評】科学と人間性の往復『理不尽な進化』吉川浩満

本書は表紙だけ見ると、進化生物学の読み物のようで書店の科学コーナーにありそうな本です。第一章まで読んだ時点では、まだそのイメージで問題ありません。従来の進化論の本は環境に適応して生き残った生物種にスポットライトを当てていますが、こ...
経済

【書評】発展の最大の要素は人『ルワンダ中央銀行総裁日記』服部正也

1965年、日本銀行員だった著者が突然アフリカの発展途上国であるルワンダの中央銀行総裁に就任し、破綻寸前のルワンダ経済を立て直すというお話です。これがまた映画のように熱い展開で、語り口は淡々としているにもかかわらず、あまりの面白さに引き込...
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