【書評】『方法序説』

哲学

すべての人が真理を見いだすための方法を求めて、思索を重ねたデカルト(1596‐1650)。「われ思う、ゆえにわれあり」は、その彼がいっさいの外的権威を否定して到達した、思想の独立宣言である。近代精神の確立を告げ、今日の学問の基本的な準拠枠をなす新しい哲学の根本原理と方法が、ここに示される。

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感想

「我思う、故に我あり」、神の存在、二元論などなど、読んだことはなくてもデカルトの哲学の概要は有名です。哲学の読み物で要約の要約のような解説は読んだことはあったのでなんとなく理屈は知っていました。でもやはり原著を読むのは全く違う体験でした。デカルトの経歴や哲学への取り組み方なども含めて、彼の生の言葉で読むと理解が深まるし、人となりが分かって面白いです。彼なりの学問に取り組む際の原則、地動説への弾圧を踏まえた学説公開への慎重さ、人体に対する並々ならぬ興味なとがひしひしと伝わってきます。

今読むとあまり新しいことを言っていないので引っかかりは少ないかもしれませんが、本書の内容は現代にもつながる科学的方法の基礎を作ったそうです。自然科学に対しても数学のように明晰に厳密に考える。研究成果を公表し、他者がその基礎の上に研究を重ねられるようにする。常に自分の主張が仮のものであり、新しい発見で更新されることを前提とする。などなど、読んでいくと確かにそうで、歴史的に重要なことだということが伝わってきます。

有名な形而上学の章ですが、不完全な人間が生得観念を持つことから、完全性イコール神の存在を証明し、それをもとに理性にとって明証的なことを真であるとする流れは、今読むと少々無理があると感じてしまいましたが。

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