ディズニーにあまり興味がないけど、彼女や子供の付き合いでディズニーランドに行くという人も多いと思います。そんな人でも知ってると意外と楽しめる、歴史やコンセプトについての知識を紹介していきたいと思います。今回はオーディオアニマトロニクス初採用アトラクションである、魅惑のチキルームです。
オーディオアニマトロニクスの誕生
シンデレラ以降、アニメーション制作に興味を失っていたウォルト・ディズニーは、ディズニーランドのアトラクション企画用に模型などを作る作業場に入り浸っていました。その頃ディズニーランドの中に中華料理店を作る計画がありましたが、ウォルトはそこに機械仕掛けで動く孔子の人形を置いて、客と会話をさせて楽しませる案を考えました。すでにジャングルクルーズなどにカム機構を使った単純な動く動物がありましたが、カムを使ったものはどうしても動きに制約がありました。
そこでウォルトとスタッフは、磁気テープの電気信号を使って人形を動かす仕組みを考えました。それによって、体だけではなく目や口といった細かい顔の部位まで動かせる試作品ができあがりました。最終的にこの人形は完成しませんでしたが、この技術はオーディオ、アニメーション、エレクトロニクスの3つを合わせた「オーディオアニマトロニクス」という名前が付けられ、その後多くのアトラクションに採用されていきます。
オーディオアニマトロニクスを使った初のアトラクション
この技術を初めて使ったアトラクションが1963年にアナハイムにできた「魅惑のチキルーム」です。初めはポリネシア料理を出すレストランとして企画されていました。デザイン画を見たウォルトは鳥が糞をするんじゃないか、という心配を口にしましたが、スタッフから「本物の鳥は使いません」と聞いて安心したそうです。
魅惑のチキルームは、ポリネシア風の藁葺き屋根の建物の中で、225羽の鳥や花などの植物が歌ったり話したりする幻想的なショーです。トーテムポールや壁にある顔なんかも動き出すので、下手をすると不気味に感じる人もいるかもしれません。ただ、今東京にあるものは『リロ&スティッチ』のスティッチが「アロハエコモマイ」というハワイ風の歌を陽気に歌うスタイルにアップデートされていて、不気味さはだいぶ薄まっていると思います。
ニューヨーク世界博
オーディオアニマトロニクスは動物を自然に見せるのは比較的簡単でしたが、人間となるとそうはいかなかったようです。カリブの海賊での完成された人形の動きには驚かされますが、そこにたどり着くまでの話として1964年のニューヨーク世界博が重要になってきます。ウォルトたちはそこに「大統領の部屋」という実物大のリンカーンの人形が喋るアトラクションを準備することになりますが、これが苦労の連続でした。ニューヨーク世界博はその後のディズニーランドに大きな影響を与えるイベントになります。
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