【書評】4つの性格で変わる恋愛戦略『恋愛の取説』岡田斗司夫

心理学

これはただの恋愛ノウハウ本ではありません。たいていは恋愛はこうすればうまくいく、と一般化して語られることが多いですが、本書では人の性格を4つに分類して、それぞれの性格に応じた恋愛の戦略を指南しています。

 欲求の違いで4つに分類

有名な性格分類の方法に「エニアグラム」があります。エニアグラムが性格を9つに分類しているのに比べると、4つというは少なすぎでは?と感じます。その理由はこの本が「欲求」の違いに的を絞っているからでしょう。さらに、例えば何かを「避けたい」といったようなネガティブな要素は脇に置いておいて、どんな報酬を得たいかというポジティブな要素に絞ることで、話をよりシンプルにしています。そのおかげで読者も簡単に自分の性格を診断できて、その結果もああ確かに、という納得できるものになってます。その分、人間の性格の全ての面を分析できる内容にはなっていないのですが。

その4つの分類を簡単にまとめます。

  1. 王様・・他人からの評価が欲求。世話焼き。自己アピールが強い。
  2. 軍人・・勝利することが欲求。合理的に判断。行動派で努力家。
  3. 学者・・真理を知ることが欲求。観察して推理し、理解すれば満足。
  4. 職人・・理想の追求が欲求。自分の主観的、抽象的なこだわりが大事。

 素晴らしい恋愛のハウツー本

性格分類についての解説は最初の1章だけで、そのあとはそれを恋愛に当てはめたハウツー本になっています。まず自分と相手は人間としての欲求が違うんだという認識を持った上で、どうすれば恋が上手くいくかという実践的なアドバイスがあふれています。誰しも好きな相手が自分と同じ感覚を持っているという勘違いをしがちですよね。だから相手の言動を理解できなくて悩んだり、裏目に出る行動を取ったりしてしまいます。この本はその勘違いを正して、相手の性格に合わせた正しい戦略を教えてくれます。

4つの性格をさらに12に細分化してそれぞれどんな恋愛の仕方が向いているのかが書かれているので、自分にぴったりのアドバイスを見つけることができます。恋愛のタイプを特定の漫画のキャラに例えているところなんか、オタキングと呼ばれる著者ならではで良いですね。さらに、自分と相手の性格の組み合わせは4×4=16通りありますが、その全ての組み合わせに対して、取るべき戦略を教えてくれます。

分類の根拠は書かれていない

実用面では素晴らしい本ですが、なぜ性格がそのように分類できるのかについての根拠は何も書かれていません。著者が多くの人間を観察して得られた経験則なのか、それとも何らかの引用元があるんでしょうか。少なくともこの本に書かれた内容だけで見ると、科学的な分析の結果ではなく直感的なものだろうと推測されます。

参考図書

同じような内容で、恋愛の要素を外して性格分類にフォーカスした本が後年出されていますので、そちらも紹介しておきます。

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