【ディズニーランド歴史散歩】スイスファミリー・ツリーハウス

ディズニーランド歴史散歩

ディズニーにあまり興味がないけど、彼女や子供の付き合いでディズニーランドに行くという人も多いと思います。そんな人でも知ってると意外と楽しめる、歴史やコンセプトについての知識を紹介していきたいと思います。

スイスファミリー・ツリーハウスは、アドベンチャーランドにある、ツリーハウスを体験できるアトラクションです。正直言ってあまり目立たない地味な存在です。名前も説明されないと意味がわからないので、テーマがふわっとしてます。でも一度立ち寄って見てみれば、そのディティールの作り込みに驚かされます。

ディズニーの実写映画が元ネタ

このアトラクションは、1960年公開のディズニーの実写映画『スイスファミリーロビンソン』(邦題:南海漂流)をモチーフにしています。ナポレオン統治下のスイスから圧政を逃れてニューギニアに移住を目指して航海をする家族が難破し、流れ着いた無人島でサバイバル生活を始めるというお話です。船に残った家具や島で手に入れたもので作った彼らのツリーハウスを再現したものなのです。ちなみにこの映画で海賊役を演じていたのは、なぜか日本人俳優だったそうです。

ちなみにアナハイムのディズニーランドでは、1999年から名前が「ターザンのツリーハウス」に変更されています。南海漂流という映画がもはや人々から忘れられつつあるのが理由でしょう。私もこのアトラクションの解説で聞くまで映画の存在を知らなかったですから。でも、こういうオリジナルの要素が少しずつ消えていくのは寂しいものです。

清潔な安全な無人島

この木は完全に人工物でできています。アナハイムに1962年にできたツリーハウスは高さ24m、幹と枝は鉄骨とコンクリートでできていて、そこに30万枚のビニールの葉っぱがつけられました。なんと重さは150トンです。清潔で見栄えもよく、登っても安全、虫もいません。ディズニーランドやディズニー作品に対して、この雑多で危険で醜さも含んだ現実世界を理想化し、無害で無臭で清潔な姿に「娯楽化」して観客に提供しているという批判があります。このアトラクションなんてまさにそれを象徴している気がします。

能登路雅子さん著『ディズイーランドという聖地』では、その理由を自然と戦いながら西部を開拓していったアメリカ人の意識に求めています。 自然の猛威で農地を破壊される恐怖と戦っていた人々からすると、ディズニーランドの理想化された世界はまさに天国に見えたのだと。そして、今や現実世界がそのディズニーが作り出した非日常世界にだんだんと近づいているという指摘は、なんだかゾッとするものがあります。

『ディズニーランドという聖地』 能登路雅子

 とまあそんなことを考えながらこの木に登る人はいないでしょう。上まで登れば、木の枝の陰からシンデレラ城が眺められます。良い景色と、細部まで作り込まれた小道具を楽しんで、人気アトラクションに行くまでの息抜きをしましょう。

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