知られざる大国・インドの素顔を紹介!
2027年には人口で世界一に、28年には日本を抜いてGDPが世界3位になれることが予想されているインド。この新しい大国の実情や日本との知られざるつながりについて、池上彰が徹底解説!
www.amazon.co.jp
感想
よくインドにはカースト制度があるとか、IT産業が強い、などということを言います。本書を読むと、その「インド」という括りは相当無理があるな、ということが良く分かります。まず人口が12億人以上いるわけですが、日本のようにある程度均一な民族が住んでいるわけではありません。その中には風土も言語も宗教も食べ物も違った人たちがひしめき合っているのです。
カースト制度についても、学校の教科書ではバラモン、クシャトリア、ヴァイシャ、シュードラというとてもシンプルな構成を教わりました。「バックしろバス」という語呂で教わったので今でも忘れず覚えています。ところが、実際はジャーティという職業集団が3000以上あり、その中で職業の共有と婚姻関係の維持がされています。そこにバックしろバスのヴァルナが重なる多様な制度なのです。
そのカーストにしても、人々の自由を縛るひどい制度だとばかり思っていました。しかし違った視点で見ると、ジャーティ内の仲間で仕事をシェアする、ある意味で平等な制度である一面もあるということで、違った見方があるのだな、と思いました。
インドは人口ボーナスもあってとんでもない経済発展のポテンシャルを持っています。一方で、国内に圧倒的な文化の多様性を含んでいることが難しさも生んでいるようです。宗教対立なんかが典型的です。その多様性を人権としても魅力としても大事にしつつ、いかに経済を発展させていけるのか、インドから目が話せません。
コメント