【書評】『インドが変える世界地図 モディの衝撃』広瀬公巳

社会

10年後には中国を上回る世界最大の人口となり、日本、ドイツを抜き世界3位の経済大国になると予測されるインド。モディ首相の強いリーダーシップのもと、AI戦略と巨大市場が世界を変える。NHK元ニューデリー支局長によるインド最新情勢。

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感想

モディ首相のリーダーシップの強力さがものすごいです。ある日突然に高額紙幣の廃止を発表。各州の力が強い中で消費税の統一を実現。そして全国でのトイレ一斉普及。これを人口13億人を超え、しかも多様な民族がひしめきあうインドでやってのけるのだから、すごいを通り越してめちゃくちゃですね。

逆に、インドにはこのくらいインパクトのある権力者が必要なのかもしれません。インドは民主主義の国ですが、民主主義が成立する大前提には、ある程度の国民の共通文化や仲間意識が必要だと思います。それに対し、インドは宗教も文化も言語も違う人々が住む多様性の国です。そこで民主主義を機能させる難しさは想像にかたくないです。

似たような規模で多様性もある中国を見てみると、国民統制、少数民族の抑圧など、多様性や人権を犠牲にして経済発展や政権の維持を目指しているようです。移民の国アメリカでもトランプ政権時代には特に非白人に対する差別と分断が加速しました。それに対してインドがどのように民主主義を機能させ、経済も発展させていくのか、今後のモディ首相の手腕に注目せざるを得ません。

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