地形に着目したフィールドワークを主催する東京スリバチ学会の皆川典久さんと、多摩武蔵野スリバチ学会の真貝康之さんが書かれた地形歩きのガイドブックです。23区中心の同シリーズに続いて、東京都西部を中心に地形を楽しむ街歩きのポイントが紹介されています。谷が密集している都心に比べて、より平坦な地形の多摩武蔵野ですが、都心の川の源流となる湧水の池の窪地や、多摩川沿いの段丘崖など、魅力的な地形に溢れています。
本書では主要な地形スポットの凹凸地図と、地形の成り立ちや寺社の由来などの歴史が解説されています。これを片手に街歩きをすれば、いつも見ていた街が今までとは違って見えるはずです。
基本情報
作者:皆川典久(東京スリバチ学会会長)、真貝康之(多摩武蔵野スリバチ学会会長)
発行日:2017/12/16
ページ数:207
ジャンル:自然科学>地球科学>地形学
読みやすさ
難易度:読みやすいです。
事前知識:今まで地形に興味のなかった人でも楽しめます。
おすすめ予習本:地形好きのバイブルです。
目次とポイント
I 多摩武蔵野の「スリバチ」とは
都心よりも複雑で壮大な地形の魅力:丘陵、多摩川の段丘崖、台地上の微地形が見所
II 多摩武蔵野の「スリバチ」を歩く
武蔵野台地のオアシス:井の頭池、三宝寺池、深大寺
スリバチが紡ぐ武蔵野の素顔:小金井、国分寺、東久留米、東村山
段丘崖が奏でる武蔵野の魅力:府中、国立、立川、羽村、青梅
スリバチ学会のフロンティア:八王子、稲城、町田、日野
感想
都心は密集するビルなどの建造物に覆われていて、その中にわずかに残る歴史の名残や地形の記録を探し出すというのが街歩きのイメージです。一方で多摩武蔵野は、東京にありながら古き良き武蔵野台地の面影を残しているという印象です。崖線には自然が多く残り、水路も都心と違って開渠やそれとはっきり分かる暗渠が多そうです。本書を読むだけでも楽しいですが、実際に自分の足で歩いてそれらを味わいたくなります。まさに本書で書かれているように「書を捨て谷に出よう!」という気分にさせてくれます。
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