【書評】『英語のハノン 初級』

実用書

英語とピアノは、よく似ています。英文法は、いわば楽譜です。英会話(演奏)に英文法(楽譜)は不可欠であり、英文法(楽譜)は英会話(演奏)のためにこそあります。ところが現実には、英文法と英会話は、まるで別々の英語のように捉えられ、しばしば対立するものとしてすら見なされています。いくら英文法を勉強しても、英語が話せるようにならないのは、これまでの日本の英語教育に、ピアノのハノンに当たる教本や教程がなかったからです。われわれが目指したのは、英文法を演奏するためのドリル(練習曲集)──「英語のハノン」を作ることでした。(「はじめに」より)

www.amazon.co.jp

感想

この本は、音声で読まれた平叙文を、文型を変えるなどの指示に従って自分で変形して話すのを間髪入れずにやり続ける、非常に効果的かつハードなテキストです。1ヶ月くらいかけて実践してみましたが、脳がフル回転しっぱなしで本当に疲れました。ジョギングなどをすると当然体に疲労を感じますが、まさに脳がそんな感じになります。音声を聞き取るだけではなく、それを変形しないといけないので、休む暇がないです。しかも最初からすらすら言えるレベルの難易度ではなかったので、何度か反復練習しながら、ゆっくり進めていく必要がありました。

本当に効果が出るのか?と思うかもしれませんが、これ、本当に効果あります。今までは英語を話す時に、とっさに文法を無視して単語を並べていました。それが本書をやり終えた後だと、話す前に頭の中で正しい文法を組み立てようとして一瞬口が止まるようになりました。無意識に、ハノンの問題を解くようなモードに入ってしまうのです。逆に話すスピードが落ちて英語のコミュニケーションの効率は落ちているかもしれませんが、慣れてくるのも時間の問題だと楽観しています。

そしてふと気がつくと、簡単な構造の文であれば、無意識にスラスラと喋っている自分に気付くシーンが徐々に増えてくるのです。定期的にジョギングをしていれば、誰しも体力が上がってタイムが向上するのを実感できると思いますが、本書は英語学習でその実感を味合わせてくれるすごい本かもしれません。ただし、慣れるまでは本書の実践は正直かなりきついです。疲れる脳に鞭打って耐える必要があります。それを乗り越えないとその先が見えないのもスポーツに通じるところがあります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました