【書評】『現代文解釈の基礎〔新訂版〕 (ちくま学芸文庫)』

文学

「文章を読む」とは、書かれた言葉の何を拾い上げ、それらをどう関係づけることなのか――。数々の小説や評論を題材に、重要な箇所をどのように見分けるかを、実演を織り交ぜながら徹底的に解説する。本書は、「文学的な文章」「論理的な文章」の2パートに分かれ、高校教科書の定番教材も多数収録。読者は、目の前にある文章について、内容や表現だけでなく、その表現を選んだ書き手の感性や想像力までも、つかめるようになるだろう。

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感想

高校の現代文の参考書ですが、大人が趣味の読書として読んでも間違いなく価値があります。最近はあらゆる情報をYoutubeなどで動画で入手する時代になりつつあります。そのせいもあって文章を読む能力が衰えてくるのではないかと心配になります。本書は高校1年生向けの基礎的な内容だからこそ、そんな時代に読解力をトレーニングしなおしてくれるちょうど良い教材になってくれそうです。

例文は昔教科書で読んだような懐かしいものが並びます。でも大人になってあらためて読むと、それぞれがいかに名文かとうことをしみじみ実感してしまいました。そんな厳選された名文たちを読むだけでも楽しい本になっています。

本書で紹介されるテクニックや視点は、聞けば当たり前のことに思えるかもしれません。しかし、日々仕事でスピーディーなロジカルシンキングばかり要求される社会人なんかは、文章の表面的な意味を追うことに集中して、そこから情緒などの感覚を読み取ったり、筆者の価値観や背景といった深い読みができなくなっている人もいるのではないでしょうか。本書で名文と名解説に触れて、そこからのリハビリをしてみるのも良いのではないでしょうか。

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